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第18章の22(←諒の本心に悩む麻也王子
「えっ?兄貴...そうなの?」
そこでどうして一瞬つまってしまったのか...
(...真樹、それよりもひどいことが、俺にはあるんだよ...)
しかし、真樹はやはり肉親らしく、
「...俺は、兄貴の弟だから、何があっても、うーん、兄貴の悪いようにしないよ、っていうか...」
そう言ってくれるのは本当にありがたかったが、
このままでは真樹に余計な心配をさせてしまう。
せめて誤解はとかなければ...
でも、<それじゃあほんとの原因は?>ということになってしまうか...
それは何とかごまかそう、と麻也は覚悟を決めて話し始めた。
「...あの、ね、諒以外に、ってことはないから安心して。
ただ...」
真剣な表情で、真樹は次の言葉を待っている。
「...先生には、明らかに働き過ぎで、そのストレスでしょう、って言われた...」
嘘ではないが、言葉にしてみると、
まるで自分が仕事すべてに不満があるかのように、
また、メンバーの中でただ一人、精神的に弱いかのように響いて、何だか嫌だった。
しかし、真樹はそうは取らず、それどころかすまなそうに、
「...いやぁ、兄貴、本当にごめん...
タイアップなんて引き受けなきゃよかった...
っていうか、せめて違うところから話が来るのを待てばよかった...」
「でも、それがあったから、チャートの1位も獲れたんだろうし、何よりタイアップが決まった時は、
そこからしか話はもらえないバンドの状態だったし...」
でも、真樹はがっくりと肩を落とし、
「あの時、諒は大反対したよね。俺もすれば...」
...言われて麻也ははっとした。
諒はやっぱり今でも嫌なのかも...だから...距離を感じるのか...?
麻也は悲しくなった。
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