983 / 1053

第18章の22(←諒の本心に悩む麻也王子

「えっ?兄貴...そうなの?」 そこでどうして一瞬つまってしまったのか... (...真樹、それよりもひどいことが、俺にはあるんだよ...) しかし、真樹はやはり肉親らしく、 「...俺は、兄貴の弟だから、何があっても、うーん、兄貴の悪いようにしないよ、っていうか...」 そう言ってくれるのは本当にありがたかったが、 このままでは真樹に余計な心配をさせてしまう。 せめて誤解はとかなければ... でも、<それじゃあほんとの原因は?>ということになってしまうか... それは何とかごまかそう、と麻也は覚悟を決めて話し始めた。 「...あの、ね、諒以外に、ってことはないから安心して。 ただ...」 真剣な表情で、真樹は次の言葉を待っている。 「...先生には、明らかに働き過ぎで、そのストレスでしょう、って言われた...」 嘘ではないが、言葉にしてみると、 まるで自分が仕事すべてに不満があるかのように、 また、メンバーの中でただ一人、精神的に弱いかのように響いて、何だか嫌だった。 しかし、真樹はそうは取らず、それどころかすまなそうに、 「...いやぁ、兄貴、本当にごめん... タイアップなんて引き受けなきゃよかった... っていうか、せめて違うところから話が来るのを待てばよかった...」 「でも、それがあったから、チャートの1位も獲れたんだろうし、何よりタイアップが決まった時は、 そこからしか話はもらえないバンドの状態だったし...」 でも、真樹はがっくりと肩を落とし、 「あの時、諒は大反対したよね。俺もすれば...」 ...言われて麻也ははっとした。 諒はやっぱり今でも嫌なのかも...だから...距離を感じるのか...? 麻也は悲しくなった。

ともだちにシェアしよう!