984 / 1053

第18章の23(←弟に甘える麻也王子)

「兄貴、今日は泊まっていきなよ。俺が諒に電話するからさあ… って、兄貴にも出てもらわないと諒は納得しないか…」 「ううん、今の諒なら大丈夫だと思うよ。」 やっぱり真樹にも甘えてしまっているな、と、麻也は心の中で思った。 「えっ? 何で? 」 「何かすれ違っちゃって。俺が薬隠すために、 自分の部屋で寝てるせいもあると思うけど… 諒も、来週のための歌詞が大変みたいだし…」 そこまで言って、麻也は残念なことに気が付いた。 「いやあ、俺、せっかくだけど泊まれないよ… 薬持ってきてないから…」 「じゃあ、泊まるのは明日でもいいから、まずは何か食べなよ…」 と言われて、麻也は大好きなローストビーフに箸をのばした。 口に入れて、久しぶりに、おいしさと言うものを感じた気がした。 でも、真樹にこれ以上心配をかけたくなくて、そのことは黙っていた。 が、麻也が食べているのを見届けると、真樹も同じくローストビーフを頬張りながら、 「…俺も一人の人間としてはさ、正直言って、兄貴の体の方が心配だよ。 そりゃあメンツは違うだろうけど、自分をいびり出した大手に、 また無理言われながら仕事してるわけじゃん。みんなのために…」 (…ごまかしきれた、かな…? ) 「…うん…まあね…」

ともだちにシェアしよう!