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第18章の24←(ツアーが不安な麻也王子
「…でも、バンドのメンバーとしては、その…ツアー大丈夫なの? とか思うわけよ。
申し訳ないんだけどさ。
だから…ちょっと入院するとか、実家で何日か静養して直すとかできないもんかなって、
素人考えだけどそう思うんだけど…何なら病院に俺もついていくから...」
医者とも話をしたいという。
麻也は言葉もなかった。
(...どうしよう...)
万全な体調の時でもツアーを乗り切るのは大変なのに、
いつも強気な自分でも、確かにこの状態が続いたら、
一回のライブも保証できそうにない。
クオリティ以前に、ステージに最後まで立っていられるかどうか...
ふと見ると、真樹はうつむき、何か言うのをためらっている。
「どしたの?」
「...いやあ、あの...気を悪くしないでね。
その...社長に言われたの。俺は身内として、
兄貴の病状を聞いておいた方がいいんじゃないかって...」
「...」
そしてさらに言いづらそうに、
「...諒は、その...いくら立ち会いを希望しても、
病院では家族とは認められないだろうから、って...」
「うん。そうだね。」
そう答えるのがやっとだった。
真樹はオブラートに包んだ言い方をしてくれたが、
これが現実。
身近な人間はみんな諒と自分を生涯のカップルと思ってくれているが、
戸籍も一緒になってはいないし、男同士だと内縁というのも...
「兄貴、さっそく明日にでも、2人で病院に行こう。」
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