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第5章の15

「麻也さん、俺、麻也さんのこと、心から愛してます。大切にします。 まずはお友達からでも…」 ようやく麻也は言葉をみつけ、話し始めた。 「あのさ、諒、俺はお前にも…誰にも…迷惑かけたくない…ごめん…でも、あのさ…」 自分でも、最後の言葉は未練がましいと思った。でも、涙がこみ上げてくるのがわかる。 それを見て、諒が驚いているのもわかる。 が、もう、涙が止まらない。 自分が悪いわけではないのに、何でこんなこと言わなきゃいけないんだ、と思いながらも、 麻也は思い切って言った。 「あのね、俺、もう、男も女もね、ダメなんだ…」 涙が止まらず、嗚咽になってしまう…  すると諒は立ち上がって、麻也の横に座り…そっと麻也を抱きしめてくれたのだ。 「…諒…」 「それ以上言わなくていいよ、麻也さん。つらいことがあったんでしょ?」 「…」 認めるのもつらい。

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