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第18章の28(←無断外泊の麻也王子)
…気が付けば…朝…
真樹の部屋のリビングのカーペットの上だったが…
これまでにないほど気分は悪い。
健康体の頃の徹夜明けなんて、何となまやさしいものだったのだろう。
小さいイライラが途切れることなく押し寄せてくる。
(薬のんでる方がまだマシだなんて…)
ゆうべは、直人から電話やメールは来ても、諒から麻也たち兄弟には何も連絡はなかった。
そして、麻也とスケジュールをすり合わせ、カーペットの上に仰向けになった真樹が…
疲れていたのだろう。あっという間に爆睡になってしまった。
それを見て、麻也も、少しだけ横になったら帰る支度をしようと、カーペットの上に転がった。
どうせ眠れやしないんだから…と安心していたら…気づけば、朝の5時…
真樹と一緒にここを出るとしたら、9時に出発だが…もう、それでもいい、と麻也は思った。
気が付けば無断外泊になっていたわけだが…真樹という証人がいるからいいか、とも思い…
でも、それから真樹に起こされるまでは眠ったような、眠っていないような…
(でも、起こされた時は寝てたんだよな…)
どうにか体を起こすと、麻也は、キッチンに向かっている真樹の背に向かって、
「真樹、毛布ありがと。でも、泊まっちゃってごめんね…」
「いいよ、それは。こっちこそごめん。ちゃんと寝かせてあげればよかった。」
麻也は期待して携帯を見たが、諒からの着信は一つもなかった…
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