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第18章の29(←公開リハーサルの麻也王子)
麻也と真樹は、迎えに来たそれぞれのマネージャーに連れられて、
ゆうべ急に決まったそれぞれの現場に向かった。
麻也は鈴音の公開リハーサルへ、
真樹は夜のバンドのリハーサルに備えて、
急きょ押さえたスタジオでベースの最終チェックと、
スタイリストの三田との衣装のうち合わせだった。
「じゃあ、夜にね~。兄貴、無理しないでよ…鈴木さんもよろしくお願いします…」
やっぱりすっきりしない麻也はとっさに言葉が出なくて、
笑顔で手を振るしかできなかった。
…麻也が連れていかれたのは、テレビ局のスタジオだった。
「えっ? こんな本格的に? 」
「あれ、昨日お話ししてませんでしたっけ? 衣装もメイクさんもつくみたいで…」
「ああ、それで、俺が<ゲネプロみたい>って言ったのか…」
車を降りて、局の迷路のような建物の中、楽屋にたどり着くと、
麻也付きのSP兼付き人の後藤と、
ローベル企画差し回しのスタイリストとヘアメイクが待っていた。
「えーっ、衣装、これなんですか? 」
用意された衣装を見るなり、びっくりした麻也は思わず尋ねてしまった。
すると、スタイリストたちは不思議そうに微笑み、
「えっ? おかしいですか? 」
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