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第18章の30←(王子様王子様にされる麻也王子)

 麻也が見せられたのは、白のフリフリのレースのシャツに、黒のサテンのパンツ… それもバンドの時以上に可愛め… せめて諒が隣にいる時ならば、それもいいのか… いや、麻也の目から見てもこのデザインはありえない…27にもなって恥ずかしい… (…もしかして新手の嫌がらせか…? ) スタイリストは胸を張って、 「…これまでの麻也さんの衣装を色々拝見して、 やっぱりこういう王子様な衣装が一番お似合いかと思いまして…」 「俺はいいけど、鈴音ちゃんのファンはなんて言いますかね… 何か、曲に合わないような気がするんですけど…」 すると、見かねた鈴木が、 「何か、お姫様をさらいに来た王子、みたいになりませんか? 」 「ええ、それなんですよ。以前にもお話ししましたけれど、ファンの男性たちに、 <早くしないとこのステキな男性に鈴音はさらわれちゃうよ>というコンセプトですし。」 さらにはメイク担当が、 「麻也さんのギターの濃いピンクに合わせる感じで、あと、曲のタイトルにも合わせて、 鈴音ちゃん、ベビーブルーの衣装にしたんですよ…」 ギターのことに触れられて、麻也は不快を覚えた。

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