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第18章の31(←ギターを守りたい麻也王子)

 せっかくカスタムが仕上がってきたばかりの、 これから自分のトレードマークになるはずのギターのお披露目が、 この出稼ぎ仕事になってはたまらない、と麻也は黙った。 が、次の瞬間、真っ青になった。 (ケンかボムにあのギターは持ってくるな、って電話すればよかった…) ボム、というのは多忙になってきたローディーのケンについたアシスタントで、 仕事覚えがいいので、みんなが重宝しているヤツだ。 (もう今頃はセッティングしてるよな…) アイドルも出られる音楽番組なので、実を言えば、歌以外は口パクならぬ手パク…当てぶりだ。今回の麻也もそうだ。 でも、社長に言わせれば、ディスグラはルックスと演奏力がウリのバンドだから、 あまり当てぶりっぽく見えないように機材を並べ、動くようにと厳しく言われていた。 なので、2人でセッティングだが… (可愛い雲のセットとかで隠れちゃうかも…ケンたちには悪いなあ…にしても、 故障か何かのふりして、早々にあのギターは撤去してもらおう…)  詳しい説明も受けていないけれど、まあ、そんなに自分が画面に映る瞬間もないと思うし、 よくあるように、間奏部分で長髪のギタリストが鈴音に寄り添い、 ギターを弾きながら口元が笑っているというのが見えればいいのだろう、 と麻也は理解することにした。

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