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第5章の35
「麻也さん、ちょっとシャワー浴びようか。立てる? 大丈夫? 」
バスルームに大柄な男と二人は狭かったが、密着するようにして、諒は麻也の体を直接手で洗ってくれた。
「あ…ちょっと、諒、スポンジとかで洗って…」
「どうして? 大事なものは手洗いが一番! 」
「じゃあ、そんなとこ触んないでよっ! 」…
どうにかシャワーが済むと、諒の、スウェット地のグレーの部屋着を貸してもらい、ベッドの上で休ませてもらった。
狭いベッドの上、諒はこれまで見たこともないような穏やかな表情で、
麻也の横に寝転がり、麻也の頬を撫でたり、キスしてくれる。
全くの恋人モードだった。
が、そのうち心配になってきた麻也は、
「…ねえ、諒…? 」
「なあに…? 」
「…こんな時に悪いんだけど、今日の本題、どうするの?俺、真樹に置き手紙もしてきちゃったし…」
「そういえばそうだよね。そうだ、俺、曲を口実に麻也さんをおびき寄せたんだ…」
「…信じた俺がバカだったかも…」
すると諒は苦笑して、
「いや、一応できてますよ。麻也さんから見ればまだまだかもしれないけれど。見る?
でもその前に何か食べませんか? 」
「いいけど…何かあるの? 」
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