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第5章の38

「でも、俺たちのスケジュール、これからめっちゃ忙しいじゃん。 はっきり言ってデートもままならないのは目に見えてるでしょう?  そしたら自然消滅しそうだとか、麻也さんは考えないわけ?  それとも消滅していいかな、くらいに思ってんの? 」 「そんなことないよ。」 初日でもうだだっ子攻撃かよ…内心麻也はあきれてしまった。 そういえばこういう面があるヤツとは思っていたが、まさかここまで強いとは… それに、「麻也さんのため」とか言って「自分が寂しいから」じゃないか… (まあ、そんなに俺のことが好きなのか…) 何だか可愛いというか、嬉しいというか… 「じゃあ、今の麻也さんにわかるように言い換えればさ、 麻也さんはバンドのリーダーみたいなものじゃん。 そのリーダーは、ボーカルのメンタルを大事にする必要があるんじゃないですか? 」  諒の必死さがちょっと怖かったが、ここは自分が大人になって… 「真樹がいるから電話はあんまりできないけど、頑張ってメールは毎日するよ。」 「それはキホンでしょう。」 (おいおい…) 「諒、俺たち毎日仕事では顔を合わせられるんだから、 それだけでもラッキーでいいんじゃない? 社長は男同士にも理解がありそうだから、 最初のアルバムでまず実績出してカミングアウトして、協力してもらおう。」 「うーん…」 少し諒の気持ちは動いてきたように見えた。 「オフの日は必ずここに来るようにするし…」

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