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第5章の45
確かに…こんなに満たされた気持ちになれたのは諒のおかげなのだが…
それに、夜は諒が気をつかってくれて体を繋げなかったとはいえ、
すごく愛されたことにはかわりなく…体もうずく。
ボーカリストの美しい声で、甘く囁かれたのも忘れられない。
…後悔は、全くなかった。
それどころか、これまで女とどれだけ抱き合ってもどこか満たされなかったのは…
やっぱり男の方が…
いや、諒と結ばれるためだったのではないかとまで思えてくる…
もっともデビュー目前の現実を考えれば、バンド内で恋愛、それも同性同士など許されるわけもなく、
プロのミュージシャンとしては恋愛にうつつを抜かしている場合でもないのだが…
(…俺だって、今日も一日中、諒とベッドの中にいたかったよ…)
(…って、諒の方も曲は完璧なのかよ…)
シングルでは諒の曲がA面、麻也の曲がB麺と決められていたからプレッシャーも大きい。
ただ、諒も麻也も、自分のパート以外はそれぞれのメンバーに細かいことはお任せだし、
そういうスケジュールになっている…だけに早さも求められるのだが。
(今日中に…徹夜しても全部仕上げる…)
諒にパワーをもらったということか、おかげで創作の神が降りてきたということか、
麻也はギターを弾き、詞もつけ続け…
「エンジンかかってるねえ。」
と、帰ってきた真樹をびっくりさせ…
真樹が買ってきてくれた焼肉弁当を流し込み…
でも、ちょっと気になって、真樹がシャワーを浴びている間に携帯に電源を入れると…
(やっぱ、このタイミングで良かった…)
メールが次から次へと着信…
―何で電源切るんだよ! ほんとに仕事なの!?
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