994 / 1053

第18章の33(←恩人と再会した麻也王子)

…それを見た鈴音の笑顔の明るさといったら... (...あ、俺、さじ加減を間達ったみたい...) 体調の悪さを気づかれたくなくて、かえってかなり甘い笑顔を作ってしまった模様… 彼女のマネージャー達にはその様子がかなりマズいものに見えたらしく、 申し合わせもそこそこに、鈴音を連れて行ってしまった… まあ、助かったけれど…  すると、その後に入ってきたのは、またお付きの者を引き連れたスーツ姿の、 落ち着いた雰囲気のメガネの中年の男性... (あ…専務…) 麻也はどうしていいかわからなくなった。    が、しかし、彼の方はあたたかなまなざしで、 「MA-YA、じゃなかった、麻也くん、久し振り。」 「...伊尾木専務...」 ...このプロジェクトでも、初めて会った。 …前のバンドで解雇された時、<ギターだけはやめるなよ>と言ってくれたのが、この人だった。 そして…それ以前も… その恩人に再会できたのだ。 麻也は挨拶も忘れて立ちつくすばかりだった。 「…ずいぶん立派になって…」 「…専務のあのひと言のおかげです…」 「今度はいいバンドと事務所に恵まれたね。オリコン1位、おめでとう。」 「あ、ありがとうございます…」 何だか、こみあげてくるものがあって、麻也はうつむいてしまった…

ともだちにシェアしよう!