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第5章の53

そして、麻也の手を引っ張って冷蔵庫の脇に行き、 「ほらほらコレ見て…」 そこにあったのは、カロリーメイトが段ボールにひと箱… 「えっ、これ、何で…? 」 「オフクロが忙しい時はせめてこれでも食えって。麻也さんもどうぞ。」 「へえ…何か、気のつかい方がモデルさんかなんかみたい…」 すると諒は少し困った顏になった。 「どうしたの? 」 「うーん、あまり麻也さんには言いたくなかったけど…」 「なあに? 」 「俺って、ほーんの少しだけど白人系じゃん。白人系の人って、 日本人に比べて顔が大人になるのも早いけど老けるの早いし、太りやすいんだって。 だから、お菓子とか食べて太ったり老け顔になるよりは…って持たせられたの。 ルックスも大事な仕事だから、って。」 「へえ、そうなんだ。」 「だから麻也さん、俺が早くオジサンになっても嫌いにならないで。」 いじらしくなってしまう。 「俺の方が年上なんだから、俺が先にオジサンになるから大丈夫だよ。」 すると諒は、 「だめ。麻也さんはずっと天使でいて。」 「もー、俺ばっかり…でも、母親ってホントにありがたいね。」 「うん。俺なんか、一人っ子で、小さい時は共働きで寂しい思いさせてくせにね。」 「もう寂しくさせないよ。」 そう麻也が言うと、諒ははにかみながら抱きついてきた。

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