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第5章の56

「ハイ、麻也さん、ベッドに入って…って、俺、明日にでもダブルベッド買いに行こうかな。」 「そんな時間ないと思うよ。」 「そっち? 」 「あ…あと、高いと思うし。この部屋には大きいと思うし、 将来、2人で暮らす部屋にテイストが合わなかったら大変だよ。」 「確かに。」 「それに俺、寝るのはそこのカーペットの上でも平気だけど。」 「とんでもない。」  そして、ベッドに入ってしまうと諒は、 「麻也さん、明日の夜までえっちは我慢してね。」 「はあ? 我慢してるのは諒じゃん。」 「…木内さんの前で気配を消すためだよぉ…明日の夜はいっぱいしようね…」 「っていうか、明日の夜は俺、家に帰るって。」 「えーっ、何で? 絶対手直しになるってば。」 「なったとしても、遅くなっても俺、一回帰るよ。 真樹に怪しまれても困るし。着替えの問題もあるし。」 「じゃあ、着替えは俺が真樹のとこに取りに行く。」 気持ちはわかるけど…嬉しいけど… 「諒、少しの辛抱だよ。ほら、今日はキスして寝よう。」 「明日の帰宅問題は? 」 「木内さんの帰りに決める。」  すると諒は、そんな投げやりなキスはイヤ、と言うなり、 枕元のスタンドの明かりを消した。 「じゃあ、諒、おやすみなさい。」 「麻也さん、俺考えたんだけど…」 「今度は何? 」 「今夜、もんもんとして過ごすより、 やっぱり愛を確かめあった方が明日には良くない? 」 「えーっ!? 」 「愛してるよ、麻也さん…」 「ちょっと待って! 中はダメーっっ!!」  次の日は、午後いっぱいを、木内が麻也たちのために割いてくれた。

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