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第5章の60
ツアーのラストは東京の、700人規模のホールの予定だった。
特に麻也に前のバンドの体験を聞かされる諒は、その会館の人数にもおそれを感じ、
東京ドームへはどう行ったらいいのか途方に暮れる。
それは他の3人も同じなわけで…まあ、麻也は少し、覚悟のようなものが強かったかもしれないが…
すると真樹が、
「じゃあ、やっぱり、諒も兄貴も悪魔の魔法、続けてよ。」
思わず麻也も諒もお茶にむせる。
どうにか麻也が、
「それって、関係なくない? 」
そこへ直人が、
「でも例のバンド、東京ドーム決定らしいっすよ。」
「ええーっ!!! 」
すると諒はにやりと笑い、
「それなら麻也さん、魔法を続けましょう!
それでドームに行けるなら、お安い御用じゃありませんかっ! 」
ツアー中でも諒とキスできるし…とよこしまなことも考えてしまった麻也も、
何かにすがってでも売れたい気持ちは強かったので、
「そうだね。じゃあ、キスの回数増やそうか? 」
「そうしましょう! 」
諒もみんなの手前おどけていたが…
これで真樹と直人に真実を知られてしまったらどうなるのだろうと麻也はヒヤヒヤもしている。
が、やっぱり気づいてないらしい二人は、
「よっ、日本一のキス男! 」
「ツアーのために頑張れ! 」
などと声援を送ってくれた…が、
その日のリハーサル終りも明け方近く。
さすがの諒も麻也を拉致する元気は残っていなかった…
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