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第5章の62

「ちょっと、麻也さん、それって…」    ベッドルームで、麻也が自分のシャツのボタンに手をかけると、 諒は不安げな表情で、それを止めるように抱き締められた。 そして、 「…早くスタジオでもこうできるようになりたいよ。」 「いや、それはやっぱり社会人としてどうかと思うよ。 せめて、魔法のキスがあるからいいじゃん。」 「麻也さん、冷たい。」 心外だ。 「いや、プライベートの時はいくらしてもいいからさ…」 すると諒はなぜかこんなことを言い出す。 「ツアーで、ライブの後、麻也さん、俺から逃げてオンナひっかけに行ったりしないでね。」 「はあ? 」 麻也はさっきからおかしなことばかり言われるので、少し困っている。 「ツアーの時、泊まる部屋ってどんな感じなんだろうね?  麻也さんと2人がいいんだけどな…」 「そしたらイチャイチャできるよね…」 と言ってみると、諒は喜んだが、麻也はきっと兄弟で同室にされるだろうと予想している。  そして諒は、ようやく、 「麻也さん、欲しいよ…」 …うーん、玄関で俺が言ったことは、無視かよ…でも、何で?  (まあ、体を合わせてからでなければ思い出せないのか…? ) と、麻也はベッドに横たえられ、唇を奪われる。

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