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第5章の66
そうだ、自分は長い間の呪縛を諒に解いてもらったんだった。
そんなことも忘れるくらい、諒が自分を包み込んでくれてるんだった…
麻也はあふれそうな涙を見られたくなくて諒に背を向けた。
すると、諒は優しく、
「麻也さん、おしりもいいけど、ほっぺにキスさせて。」
そう言って自分の方に顔を向かせる。抱きしめて頬にキスされる。
諒は愛しそうに、涙まで舐めとってくれた…
麻也たちの宣伝活動では、インタビューだけではなく、写真を撮る機会も多かった。
が、事務所からは何も言われていないこともあり、髪型だけは統一感ゼロ…
諒はウェーブがかかったセミロングの、シャギーも入った明るい茶髪。
麻也は、胸まであるロングの、ウエーブがかかった抑えめの色の茶髪で、
「天使みたい」と周囲には言われている。
真樹はもともと短めだが、念願の金髪にし、前髪をツンツンに立てている。
直人は「ドラマーは黒のストレートのロングに限る」と言って譲らない。
そんなものだから、
「ジャンル分けができないバンドだねえ。」
と言われている。
「サウンド自体そうだしねえ。」
と、メンバーは言い、
ビジュアル系ではないので、衣装は黒の時も足の長さを強調したパンツスーツが多かった。
「それにしても、兄貴、輝いてるねえ~…」
真樹は嬉しくなる。
あの、前のバンドから帰ってきた時とは別人だと…
再デビューと、相手はわからないが、恋人のおかげだと真樹は思う。
(それにしても、どんなステキな人なのかな…)
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