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第6章の3
病院へと向かうタクシーの中でも、まだ麻也の涙は止まらなかった。
「麻也さん、すみません。近くにいながら、何も…」
「須藤さんのせいじゃないよ。俺が悪いんだ。」
諒とつきあわなかったら…自分の弱さがまた腹立たしく思えてくる。
病院では、睡眠導入剤を処方され、安静をすすめられた。
医者にも本当のことは言えず、仕事のストレスで押し通した。
「まだ、抗うつ剤まではいいと思いますから…これで数日後には眠れると思いますよ。
これでだめだったら、また来てください。」
その日は仕事をキャンセルということになり、
麻也は今頃行われているであろうインタビューが気になりながらも家に帰った。
安静のため、麻也はとりあえずベッドに入った…
「兄貴、兄貴…」
真樹の声で気がついた。部屋の中は暗い。
どうやら自分は夜までうとうとしていたらしい。
「何も食べてないだろ? コンビニで買ってきたから食おうよ。」
真樹にもっと食べろと言われながらも食事を終えると、
遅い時間だったので、麻也は薬をのんで寝ることにした。
(こんな薬1個で、解決するのかな…)
うとうとはできたが、案の定、熟睡することはできなかった。
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