200 / 1053
第6章の4
次の日も朝、真樹に起こされて目が覚めた。
「兄貴、今日は兄貴は休みだから。さっき須藤さんから電話が来たんだ。」
「何で? どういうこと? 」
「今度は諒が倒れたんだって。だから仕事が全部キャンセルになっちゃったんだ。
だから、俺と直人も休みなんだけど、いろいろ気になるから、自主練に行ってくる。」
「俺も行くよ。」
「だめだよ。休める時に休んどいた方がいいって。」
そう強く言われて、しかたなく麻也はベッドにもう一度横たわった。
一人になると、やっぱり諒のことばかり考えてしまう。
本当のことを言えば、どこが悪いのかも気になる。真樹が帰ってきたら聞けるかもしれない…
うとうとしているうちに、また一日は過ぎた…
しかし、薬をのんでいる方がまだいくらか疲れが取れるので、麻也は薬が手放せないようになっていった…
現場の人間が、フロント2人のダウンを忘れた頃、ディスグラの2枚目のシングルがリリースされた。
諒の曲が今回もA面だった。
しかしまた売り上げは今一つだった。
4人を美しく取ったプロモーションビデオも音楽番組でよく流れていたが、CDの売り上げは伸びない。
その割には、ライブのチケットの売れ行きは良かった。
「時代がまだ追いついていないんだねえ。」
と社長は言ってくれて、
「バンド名が悪いのか? アンダーグラウンドな運命、なんつって…」
と笑っていた。
その一方で、評論家や音楽ライターなど、音楽関係者からの評価は高かった。
そして、バンドが揺れそうになりながら、今度は10か所のライブハウスツアーが始まった。
ともだちにシェアしよう!