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第6章の4

 次の日も朝、真樹に起こされて目が覚めた。 「兄貴、今日は兄貴は休みだから。さっき須藤さんから電話が来たんだ。」 「何で? どういうこと? 」 「今度は諒が倒れたんだって。だから仕事が全部キャンセルになっちゃったんだ。 だから、俺と直人も休みなんだけど、いろいろ気になるから、自主練に行ってくる。」 「俺も行くよ。」 「だめだよ。休める時に休んどいた方がいいって。」  そう強く言われて、しかたなく麻也はベッドにもう一度横たわった。  一人になると、やっぱり諒のことばかり考えてしまう。  本当のことを言えば、どこが悪いのかも気になる。真樹が帰ってきたら聞けるかもしれない…  うとうとしているうちに、また一日は過ぎた…  しかし、薬をのんでいる方がまだいくらか疲れが取れるので、麻也は薬が手放せないようになっていった…  現場の人間が、フロント2人のダウンを忘れた頃、ディスグラの2枚目のシングルがリリースされた。  諒の曲が今回もA面だった。  しかしまた売り上げは今一つだった。  4人を美しく取ったプロモーションビデオも音楽番組でよく流れていたが、CDの売り上げは伸びない。  その割には、ライブのチケットの売れ行きは良かった。 「時代がまだ追いついていないんだねえ。」 と社長は言ってくれて、 「バンド名が悪いのか? アンダーグラウンドな運命、なんつって…」 と笑っていた。  その一方で、評論家や音楽ライターなど、音楽関係者からの評価は高かった。  そして、バンドが揺れそうになりながら、今度は10か所のライブハウスツアーが始まった。

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