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第6章の10
そんな時にメンバーを悩ませ始めたのは、「そろそろ次のアルバムを…」と、
曲作りを課せられたことだった。
売れているうちに次を出した方がいいのはよくわかるのだが、リハーサルと宣伝活動が忙しいのできつい…
特に麻也は「ヒットメーカー」とされて、プレッシャーをかけられる。
諒も、麻也を越えてほしい、とハッパをかけられる。
麻也は帰宅してもくつろぐ暇などなかった。
俺は曲作りがないから…と言ってくれる真樹が用意してくれる、
栄養を考えた食事もただ流し込むだけで、
また、歌詞ノートやギターに向かう。
諒の手前、うかつなことは言えないが、麻也はかなり消耗していた。
でも、ファンの笑顔が何よりの薬と、ツアーが始まるのを楽しみにもしていた。
諒もやつれて見えるが、それは麻也も他のメンバーも一緒で、
メークやライトでカバーして、音楽雑誌のグラビア撮影に向かう。
「麻也さん、流し目くださーい。」
言われるまま、流し目をしてみる。
「はい、OKでーす。」
精神的にも疲れてしまって、ため息のひとつもつきたくもなるが、
周囲の目があるので我慢する。
移動の車の中では歌詞をノートに書きつける。
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