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第6章の14

 その日もホールで4つのバンドが出演するイベントだった。  出演順では、若手と言うこともあって、1番最初だったのだが、 みんながディスグラ目当てだったのかと思うくらいの客席の盛り上がりだった。  もちろん、諒に抱きすくめられてのキスも披露した。 最近では、その時の諒の目の鋭さに、 ファンは「あれは本気。単なるパフォーマンスじゃない」なんて言っているようだったが…  …メンバーはみんな、充分な手ごたえを感じて、楽屋に戻ってきた。  共同の楽屋で、麻也がほっと一息ついていると、 「麻也さん、はーい、チョコだよん。」 諒だった。 どうやって手配したのか、ファストフード店のシェイクを持ってきてくれたのだった。 麻也があわてて受け取ると、珍しく、諒は麻也の隣のパイプ椅子に腰かけた。 麻也はどぎまぎしてしまって話題に困り、 「諒のは何味なの? 」 「チョコですよ。おれ、チョコ派だもん。」 「えっ、じゃあ、あの時…」  麻也は初めて会った時のことを思い出していた。 「悪かったね。チョコ譲ってもらっちゃって。」 すると諒は照れ隠しのように大声で笑い、 「いや、あの時は麻也さん可愛かったから。」 「過去形なの? 」 言ってからしまったと麻也は思ったが、諒は冗談に紛らわせてくれた。 「いや、今は魔法の力でおキレイですよん。」 麻也が吹き出して笑っていると…

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