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第6章の17
でも、やっぱり子供がいるのは大変だよなあ…と真樹は続けたが、
「兄貴、怒ってる? 」
無反応だったので言われてしまった。が、どうにか、
「いや、別に。ただ、秘密は守らなきゃ、とは思ったよ。大事な時だし…」
話はそこで終わってしまった。
が、気まずいと感じたのか、真樹は明るい表情を作り、切り出した。
「そういや兄貴、例の件、考えてくれた? 」
「え? えーっと、何だっけ? 」
「いやだなあ、俺の一人暮らしの件だよ。」
「あ、ああ、それ…」
「なんだよもー!!」
収入もかなり増えたので、そろそろ寮を出て、一人暮らしをしたいと真樹が言いだしたのはつい最近だった。
まあ、実家暮らしの恵理と会うチャンスを増やしたいというのもあるだろうが…
それを聞くと、社長は、次に入ってくる新人たちを寮に入れたくなったらしく、
他のメンバーにも引っ越しを勧め始めたのだ。
真樹が出て行ってしまえばこの部屋は広すぎるので、麻也にとっても好都合だったが…
(俺の世話と看病ばかりなのも、真樹には悪いし…)
「いいんじゃない。社長もああ言ってくれてるし。
俺も真樹の世話になってばかりもなっていられないしね。」
「じゃあ俺、物件探し始めるわ。」
「ついでに俺のも探してもらっていい? 」
「嫌だよ、自立するんじゃなかったの?! 」
ツアーの合間にも、真樹は恵理と連絡を取り合い、熱心に物件探しをしていた。
そのくらいの方が、長くなった「ツアーという魔物」にのみこまれなくていいかもしれない、と麻也は静観していたが…
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