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第6章の19
それは諒も同じだったのか、打ち上げの帰りのわずかな時間でも、麻也の手をつないでくるようになり、
おっかけその他の女の子たちにきゃあきゃあ言われるようになった…
が、移動のタクシーの中で隣り合わせに座ると…諒は手を離す。
(仕方ないか…諒にしてみれば営業用なわけだし…)
でも、最近一人一室になったホテルの部屋で、麻也は諒の手のぬくもりを思い返す。
そんな次の日のライブでは、麻也のパフォーマンスは激しくなってしまう。
全身で観客をあおり、そうかと思えば一瞬だけギターの手を止めて、諒にもたれ、
まるでのぼりつめた時のような顔を、挑発的に観客にさらす。
そのヒートアップぶりに内心では驚いているらしい諒も、それに見合うような愛撫とキスをしてくる…
「麻也ちゃんの『ま』は、魔性の『魔』」と言われたり、
ファンレターに『魔夜姫様』と書かれるようになったのもこのころだった。
気は張っているからいいようなものの、メンバーの体がきつくなってきた頃、それは申し渡された。
4枚目のシングルの緊急リリース。両A面でアルバムからのシングルカット。
ありがたいとはいえ、オフはいったいどうなってしまうのか、みんなドキドキだった。
が、寂しい独り者の麻也は、みんなの気持ちを考えて、社長に言った。
「オフの期間とプロモーションの期間が重なるなら、俺が一人で全部うけます。
オフはいりません。その代わり、他のみんなにはオフをいただけないでしょうか。」
メンバーは、みな、おおっ、と言ったが、社長はすぐに、
「だめだ。グラビアの撮影が多いからだ。」
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