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第6章の21
「せっかくギターが上手いのに、売れっ子なのに、お前をそんなイロモノにしたくない。」
「すでにイロモノかも。」
「うるさい。あんまり言うとキスも禁止にするぞっ! 」
「で、オフの話はどうなったんでしょう? 」
真樹が涙目で訴えると、
「悪いが5日に減らしてくれ。麻也、お言葉に甘えて君だけは1日早く動き出してくれ。」
「やっぱり脱ぐんですか? 」
「違うっ! 」
両A面のシングルは、また麻也と諒がそれぞれ1曲ずつだったが、
選ばれた曲を諒が不満がっているという噂が麻也の耳にも入ってきていた。
(噂…か…)
スタッフの数も急激に増え、打ち上げに集まってくる関係者の数も増えていた。
メンバー同士も前ほどべったりしてはいられないから、確認もせずに日が過ぎていく。
集まってくる人間の中には、前のバンド時代に麻也に言い寄ってきた男たちも、
残念ながら混じっていた。
今の事務所のガードが堅いのが救いだが…
しかし、そんな男たちで、そのガードの堅さに、
あるいは諒の姿に諦めきれない人間は、ディスグラの弱みを探そうとする。
あるいは根も葉もない噂を流す。
たとえば、ライブが盛況だった先日のある夜、
お持ち帰りの女だけでは物足りなくなった魔夜姫様は、
新入りのスタッフの青年にも手をつけた…
いやいや、その青年は姫の魔性に惹かれて身を投げ出したのだ…というように。
そんなこと、ありえない。
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