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第6章の33
諒への心中立ての一年の禁欲が、諒その人によってほどかれている。そんな気はした。
「…麻也さん、俺の気持ちは変わらない。麻也さんだけを心から愛してる…」
しかし、麻也は諒の今の環境を考えると、どうしても元に戻れないと思う。
戻ってはいけないんだ…
それで、やはり無言で、目をそらして唇を噛みしめるばかりだった。
心までは絶対開かない…
しかし諒は、
「麻也さん、そんなに傷ついていたんだね。
そんなに俺に本気でいてくれたんだね…」
そう言われると、また涙がにじんでくる。
でも、でも…やっぱり諒の人生は子ども抜きではありえない。
だとすれば、俺なんかじゃなくて、子供の新しい母親になれるような女性と恋愛する方がいいんだ…
その間にも首筋を責められ、耳元で囁かれた。
「ずっと麻也さんのすべてが欲しかった。
ツアー先のホテルで、奪ってしまおうかと何度も思った…」
そんなことを言われると…また、体まで、諒を欲しがってきて…
「麻也さん、そろそろひとつになろうね…」
麻也には逆らう意思も、力もなかった。
(うん…最後にね…諒…ありがとう…)
大きく息をすると、諒の熱い、大きなものが入ってくる…
「ん…ん…んふっ…はぁっ…」
声を、こらえきれなかった…それを聞いたせいか、
諒はさらに結合を深めるように抱いてくれた…
恥ずかしいけれど、諒と同じく、2回もイって…ものすごく感じた。
諒も息を切らしながら、
「…麻也さん…こんなに感じてるでしょ…俺なしではいられないでしょ…」
「…」
体を離してから、諒に強く抱きしめられたが、顏はそむけた。
それでも諒は無理やり頬ずりしてきて、
「麻也さん、何とか言って…」
諒の泣き出しそうな声を聞いても、麻也は諒の幸せを考えるあまり、言葉を失い続けた…
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