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第6章の37
すると諒に、苦しいほど強く抱き締められた。そして、深い深いキス…
「麻也さん、愛してるよ。もう離さない。」
「俺も…」
と言いかけた途端、麻也はふらつきを覚えて、諒にしがみついてしまった。
諒がしっかりと抱きとめてくれるが…
「麻也さん、ごめん。さっきまで、俺があんなことしたから…」
しばらくそのままでじっとした後、麻也は諒に肩を貸してもらって、部屋に戻った。
そして、ベッドになんとか入らせてもらうと、その横に、
諒がかつてのように体をすべり込ませてきて、守るように腕をまわしてきた。
「麻也さん、俺、ずっとここにいるから安心して。」
「うん…ごめん…また、看病みたいになっちゃって…諒、もう一度…」
「ん? 」
「ううん、何でもない…」
と言いながらも頬が赤らむのをどうすることもできない。
「おやあ、麻也さん、もう一度、何かなあ? 」
「もう一度、は諒の方でしょ。」
すると諒も顔を赤らめて照れる…
…ようやくこんな状態になったのが嬉しくて、
麻也は…でも…眠りたくなどなかったのに、疲れからまどろんでしまう…
時折、目を覚ますと、諒は優しく微笑みかけて頬を撫でてくれたり、
美しい寝顔を見せて、眠っていたりした。
(諒こそ、波瀾万丈の1年だったんだよね…俺みたいに薬が手放せない、なんてことないのかな…)
心配だった。
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