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第6章の38

 麻也が次に目を覚ますと、外はもう朝らしかった。  諒の、ペリドットのような美しい瞳が見守ってくれていた。 そして、麻也の前髪を撫でてくれながら、また、 「麻也さん、あんな強引なことしちゃってごめんね… でも…俺…どうしても、麻也さんがもう一度欲しかった… とにかくイカせて征服しなくちゃばかり考えちゃって…」 「ん…でも、俺も、嬉しかったよ…諒に…1年ぶりに求められて…」 それ以上は恥ずかしくて言えない…  すると諒は急に真顔になり、 「麻也さん、もう、この瞬間から同棲スタートさせようね。」 「えっ? 」 「麻也さんの体力が回復したら、午前中にでも俺のウチに連れてっちゃうよ。 ここの方が広いけど、真樹を驚かせても悪いし…」 またも諒が引き起こす急展開が、麻也にはありがたくも嬉しかった。 が、しかし…麻也は思い出していた… 「でも、良く考えると俺、あさってはもう仕事だし…」 「俺の部屋から出かけて、俺の部屋に帰ってくるの。何なら俺、仕事、ついてくよ。」 「ええっ、せっかくのオフなのに? 悪いよ…」 「でも、麻也さんは、本当は少しでも俺と離れているのが不安なんでしょ? 」 「…うん…トラウマ…かな…」 「じゃあ、本当に現場についてくよ。インタビュー? 専門誌じゃないんでしょ? 」 「ヌードかもしれないよ。」 「それはダメです! 全身キスマークにしちゃうぞ! 」 2人で大声で笑った。幸せ…諒もそう思ったのだろう。 泣き出しそうな顏で、触れるようなキスをくれる。 「じゃあ早く終わるように、俺もインタビュー受けちゃうよ。」 「じゃあお願い。」 「それにしても早く2人用の新居、探さなくちゃねえ…」 諒の気の早さに、麻也は喜びながらも、新居選びにはためらいも感じる。 一緒に暮らすとなったら、周囲をどうごまかすのだろうと思って… 「ごまかす」ということ自体、寂しいような気がするけれど…  そんなことを思っていると、諒が大声で、 「そうだ、麻也さん、さっきの話どうするの? 」 「えっ? 」 「こっちがえっ、だよ。麻也さんの子供…好きなコが妊娠…って…」

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