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第6章の40

 とりあえずバスローブを羽織り、ちょっとふらふらしているのを、 シャツを羽織った諒に肩を貸してもらってバスルームへ… その途中で、諒に携帯を渡される。 「ああ、真樹からのメールだよ。えっと…シャンパンを冷蔵庫に忘れました。 いい物なので、引っ越しそば代わりにどうぞ。手伝ってくれてありがとう…だって。」 「あー、良かったあ…」 「ここに来るとしてもね、オフの後って言ってたよ。」 「んー、でも心配だから、やっぱり麻也さんは連れてくよ。俺、体洗ってあげるから。 麻也さんは立ってるだけでいいから…」  シャワーの後は、真樹が置いていったバスローブを羽織り、また着替えへと部屋へ戻り… 「…荷物どうしよう…」 急なこともあって、頭が回らない。 「まずはツアーに出る時の2倍くらいでいいんじゃない? 」 勝手にクローゼットを開けると、諒は、これが好き、と白のコットンシャツとジーンズを手渡してくれたが… 麻也はシャワーのあとの心地よさもあって、 座っていたベッドの上にまた横たわってしまった。 そしてそのまま、「愛の奴隷」状態になっている諒に命令を出してしまった。 「諒、悪いけど、下着ちょっと多めに入れといて… あと、冷蔵庫のシャンパンも忘れないでね。 あと、アクセサリーケースも…」 と言ったところで、ケースを持ち上げた諒はいたく神妙な表情になり、 「麻也さん、俺、今回は、このチョーカーを麻也さんにつける、ってことでいいのかなあ? 」 と、見れば、諒は、例の、麻也がプレゼントした天使のブレスレットリフォームチョーカーをつけている。 「あ…」 切なくて、麻也の胸はいっぱいになった。 「ううん。俺、諒にもらったペンダント、まだ持ってるんだ。」 「えっ? 」 「そのケースの中。一生の記念に、って。もう恋愛なんてできないって …思ってた…から。」

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