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第7章の2
反省会は、反省そのものよりも、幹部たちが提示してくる未来へのビジョンの説明で長引き、
次の仕事にもさしさわるほどだった。
そして、
「じゃあ、麻也と諒は3枚目のアルバムの曲作りを開始してるということで。頑張れよ。」
で、ようやく会議は終わった。
(…俺の方は全然、曲できてないのに…)
麻也は内心アセる。
そして次の仕事では、また「武道館を振り返って」のインタビュー、
4枚目のシングルのインタビューと続き…
2人が諒の部屋に帰ったのは、もう深夜をまわっていた。
諒はほとほと困った様子で、
「仕事はありがたいけどさ…これじゃ全然引っ越しの準備できないよね…
真樹はいいタイミングだったね。」
「うん…恵理ちゃんがかなり動いてくれたみたいだったしね。
ただ、武道館の次の日だったから、ぐったりしながらの作業だったけど…」
数日ぶりのハードスケジュールで気疲れした2人は、
裸で抱き合ったままで眠ってしまった。
次の日、お目覚めのフレンチキスを交わしても、何もアイデアは出ない。
諒が仕方なくといった風に、
「スタッフに声かけてみる? 二人暮らし用の物件を探してって。」
麻也はびっくりして口ごもったが、
「でも…理由訊かれたら何て言うの? 本当のことなんか言えないじゃん。」
「ソングライティング同士、曲の量産のために合宿生活を送りたいんです、って。」
「それで通るかなあ…」
「通すしかないんじゃない? 」
麻也はそれでも納得がいかなかったが、フルーツヨーグルトを食べ始めて、ぽつりと、
「さっきの諒の提案、やっぱり仕方がないかもね…」
「となると、まずは須藤さんからだよねえ。
さらりと頼んでみてさ、それで通ればオッケーってことで。」
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