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第7章の12
その後の音楽番組の収録中も、麻也の気持ちは重かった。
トークはリズム隊が盛り上げてくれたので助かったのだが、
演奏では、諒の気持ちが曲に入るかどうか、自分のことより心配になった。
が、それは取り越し苦労に終わったようだった。
テレビだと絡みがないので楽な面もある…のだが…
(やっぱりテレビって絡みはNGだよねえ…明日は雑誌の撮影で諒と抱き合うみたいだけど…
それならやっぱり、ドキュメンタリ―のいちゃいちゃなんてたかがしれてるのかな…)
収録が終わってからがつらかった。
何も知らない真樹と直人が、どうしたの? と言いながら、須藤に誘導されていく。
予定外の社長室でのミーティングに、麻也の気持ちは重かった。
(でも…なぜ重いんだろう…重くちゃいけないのに…)
諒は自分を闇から救い上げてくれた人なんだから…
逆に、だからこそ、諒との仲を真樹や直人にカミングアウトするのは普通のカミングアウトよりつらいのかもしれない…
「今日はね、諒と麻也から、話があります。」
机の上の企画書を置き直し、真樹と直人は社長の方を向く。
諒と麻也は立ち上がった。
「えっ? 今度は何? 」
真樹に叫ばれてつらかったが、麻也は諒の言葉を待つしかなかった。
「実はその…このたび僕は、ここにいる麻也さんと一緒になることになりました。
社長の手を借りて、これから引っ越して、一緒に暮らし始めます。
曲を仕上げるスピードが、ね、早くなると思います。
これからもよろしくお願いします。」
諒に合わせて、麻也もぺこりと頭を下げたが、あっけに取られた表情で、
座っている二人は無言だった。
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