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第18章の35(←アイドルと仕事の麻也王子)
ケンに近づくと麻也は彼のTシャツの袖を引っ張り、耳元でささやいた。
「ケン、悪いけどピンクは引きあげて...」
と、麻也がこっそりささやくとケンはにやりと笑い、
麻也にささやき返してきた。
「そんなことじゃないかと思って、置いてきましたよ。」
麻也は嬉しくなって、ケンの腕をぱしん、と叩き、
「ケン、さすが〜!」
他の関係者たちににらまれ、麻也はあわてて声をひそめた。
それにしても仲間がいてくれるのは心強い。
「よろしくお願いしまーす!」
そこに今度は鈴音がマネージャーたちお付きの者をつれてやってきた。
ナチュラルなメークに、ベビーブルーのフリフリのワンピースに、
ツヤツヤな黒のロングヘアが、こうして見るとなかなか可愛い。
少しはアイドルのオーラが出てきたようにも麻也には見えた。
(まだ俺も新人をフォローしてる場合じゃないのに...なんか偉そうに見ちゃうんだよな...)
鈴音の緊張をとくために、ということで、
言われるまま麻也はポラロイドでツ一ショット写真を撮られた。
写真の立ち位置を決める時も、定位置にそれぞれ向かう時の笑顔も、
麻也が見た彼女の表情はキラキラと輝いていた。
そして、バックバンドの3人に挨拶...が、
鈴音と一緒になってしまったのには何となく笑ってしまったが、
(何か、ユニットみたいに見えて嫌かも...)
内心ではそう思っていた...
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