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第18章の36(←諒に密かに見守られる麻也王子)

 ...実は、そのスタジオの片隅には、その麻也を食い入るように見つめている男がいた... (麻也さん...) 忙しいはずの諒だった。  自分のスケジュールの変更を聞かされた時、 麻也のスケジュールもしっかり聞き、 たとえ1分でもいいからと須藤に頼んで連れてきてもらったのだ。  それにしても…昨夜の外泊…朝、諒は麻也が戻った形跡がないのを見て、真っ青になったが … しかし携帯に真樹から<昨夜、兄貴泊めました。諒がいないので調子悪そう>のメールがあったので少しほっとしたが… 最後の一文が気になった。 真樹のリップサービスなのか、本当にかなり具合が悪いのか… もし後者だったら、このスタジオを全部ぶっ壊して、麻也の手を引いて逃げたい気分だった。  しかし…甘々なデザインの王子服の麻也は、遠目には元気そうだったが、ふと見えた横顔は、 結構アイメイクも濃い感じで、やっぱり本当は元気がないと見える… 諒は目立たないようにと黒のスーツを着てきたのが、 やはりそれだけでは姿を隠しきれず、知らないスタッフにも結構声をかけられた。 が、諒は答えるのも段々面倒になり、 「もう、大切な人なので心配で…」 で押し通した。

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