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第18章の37(←諒、麻也王子に惚れ直す)
(もう、うっせえな…集中できないじゃん...)
ようやく人がいなくなり、諒はうっとりと麻也の姿を眺めた。
麻也が諒の知らないベテランミュージシャンと対等に渡り合っている姿もカッコ良く見えた。
惚れ直してしまったかも…
特に諒が安心したのは、麻也が鈴音に指示している様子が、
王子様が庶腹の妹に何か教えている(矛盾のうえにどれだけ意地悪な表現なのか)ようにしか見えず、
本人が言う通り麻也にも下心もないのが見て取れたことだった。ほっとした。
(いやあ、でも、麻也さん痩せたな…自分たちのリハの時は全然気がつかなかった…)
諒はつらくなった。自分は大切な麻也のことを気づかう余裕もなかったなんて…
(何がチャート1位だよ…日本の若手バンドでナンバーワンだよ…)
つぶやいてから、諒は、しまったと思い、カミサマゴメンナサイ、と心の中でつぶやいた。
諒には特定の宗教はないが、周囲に、というか、目に見えない力のようなものにいつも感謝をしている。
特にライブ前は両手を胸の前で合わせて祈ったりする。
そんな存在に、今の、バンドマンとして最高の状態に毒づくなんてどうかしてる…
「公開リハーサル、なんて言ってましたけど、マスコミはまったくいないんですね。」
須藤に言われて気づいた。
諒があたりを見ても、本当にサウンドや番組関係のスタッフしかいない。
「ほんとだ。でもまあ、すんなりと入れてもらえたんだからよかったんじゃない?」
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