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第18章の38(←麻也王子に魔の手が…)

 しかし須藤は、 「まあ、諒さんの顔パスですからね。 うーん、でも、これじゃあ麻也さんの貴重な時間を何かムダにされてるような気が... これじゃあ公開リハーサルのリハーサルじゃないですか。」 そう言って、不満げなまま、電話をかけに外に行ってしまった。 やっとまた諒は、麻也を見ることに専念し始めたが... (麻也さん、気づいてくんないかな...) 目立たないようにしては来たが、どうせ自分たちのリハーサルでは一緒になるのだが、 (でも、せっかくなら麻也さんのびっくりする顔が見たいよ…) 鈴音の、新人アイドルらしい歌は中断したが、 麻也は他のミュージシャンのところに行ったり、 ギターのチューニングをしたり、それをボムにやらせたりと、 気まま過ぎて見えて諒は一人で声を殺して笑っていたが、 見ているうちに、作曲者なのにあまり鈴音には近寄れないのがわかってきた。 麻也が近づくと、マネージャーたちが制止してしまうのだ。 もしかすると、さっきの1回しか許されてなかったのかも… (若いからこんな扱い受けるのかな。麻也さんが立ち会いを嫌がるわけだ…) 守ってあげたいのに… ここでは、諒の立場では何もしてやれない… 悔しさもあるが、麻也への愛しさがぐらぐらと煮えたぎってくる。 (今日は、絶対麻也さんを抱きしめて…いっぱい愛でくるんであげよう… 心もほぐしてあげよう…) このリハーサルが終わったら、まずはここで抱きしめてチューだな… みんなに見せつけてやろうっと…  …そこまで考えると、何だか恥ずかしくなって、改めて周囲に人がいないかきょろきょろしてしまった。  …その時… 「...諒くん、あの子に、MA-YAに、クスリをやめるように言ってくれないか…」 背後から、男の声で、信じられないような言葉を聞いた。 諒はびっくりして振り返った。 50代とおぼしき、スーツのその男は、麻也と同じくらいの身長だろうか。 髪はロマンスグレーといったところだが、鋭い大きな瞳の整った顔立ちは俳優ばり… …ああ、ごめん、いきなり…と、男は詫びると、 「はじめまして。ローベル企画の、社長の坂口です。 いつも鈴音と、MA-YAがお世話になってます…」

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