1000 / 1053

第18章の39(←麻也王子の元カレは大物?)

 諒は動けなくなった。頭の中が真っ白になった… ただ、その男を見つめるばかりだった。 これが、この男が…麻也の初めての男だというのだろうか…  芸能界のドンの一人と言われるだけあって堂々とした男… だが、彼も少しうつむき、言葉に困っている様子なのは、 やっぱり彼は麻也にとって過去の男であり、 諒は現在の男だからということなのだろうか。 でも、それならばなぜわざわざ話しかけてきたのだろうか… 諒が何も言えずにいるうちに、 「…MA-YAはセックスの時、クスリ使うでしょ? 」 「…」 「じゃあ、僕がもうトシだからとか、僕とのセックスがマンネリだからとかで使うのかなあ?  もちろん違法なものじゃないから安心してね。次から僕の方で調節しておくよ。」 諒は混乱するばかりだった。 この男は今現在も麻也とつながりがあるというのだろうか。 そしてこの男は諒の瞳をのぞき込むと、さらに諒を追い込んだ。 「困ったことがあったら、いつでもバンドでウチの事務所においで。 今の事務所では、東京ドームは仕切れないと思うよ。」 事務所のことを馬鹿にされたのも腹が立ったが、何しろ、麻也の真実の方が先だ。 麻也の、ローベルがらみの仕事には、この男との情事の時間もあったのだろうか。 (だから麻也さんは…別れを言い出したのか…) 諒は目の前が真っ暗になった。

ともだちにシェアしよう!