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第18章の40★麻也王子への愛が揺らぐ諒
「あ、坂口社長、ご挨拶が遅れて申し訳…」
そこに割り込んでくれたのは、いつしか戻っていた須藤だった。
彼は名刺を差し出して自己紹介をすると、改めて堅苦しい挨拶で諒を引き合わせてくれたので、
諒はもやもやしたものをを押し殺して、どうにか無言で頭を下げた。
すると坂口はすっかり表情が威厳ある厳しいものに変わった。どうやらビジネス用の顔になったらしい。
「これはご丁寧にどうも。
いや、今回は女の子だから、一日も早くデビューさせたいって、みんなでアセってね。
そちらにご迷惑かけてしまって申し訳ない。」
「とんでもないです。こちらこそいろいろとお世話になりまして、恐縮しております。」
それを聞いた坂口は、諒を見て意味ありげに微笑みながら、
「いやいや、こんなすごいアーティストがいるなんて、おたくが羨ましいですよ…」
と言い、それでは高橋社長によろしく…と言い置くと、忙しそうに、出口で待たせていた秘書らしき男性と帰っていった。
須藤は何事もなかったかのように、麻也の方を見やりながら、
「麻也さん、早く終わるといいですねえ…今日のリハのお弁当は、
遠藤兄弟のリクエストでジンギスカン弁当なんですよ…」
と、のんびりと言う。
それが諒には助かったが…
(あんなのウソに決まってる…)
でも逆に、いつもなら「何か言われませんでしたか? 」くらい言ってくる須藤が何も言わず、
触れてこないのもおかしい気がする…
「…須藤さん、ちょっと俺、帰るわ…」
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