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第7章の14

「えっ?この『情熱ジャパン』って…俺たち出るんですか?  それとこれと何の関係が? 」 「その番組の中で、2人のラブラブぶりをアピールしてもらう。」 「何で。」 「諒の件がスクープされる日が近いからだ! 」 そして、そのための作戦を真樹と直人に説明し始めた。 「でも、どうしてウチの兄貴が…」 「愛し合ってるっていうからちょうどいいだろ。」 「社長っ! 」 直人がどうにか冷静に、 「これだってトップシークレットじゃないんですか? 」 「そのようには扱わない。っていうか、今説明した通り、扱えない。」 「兄貴も黙ってないで何とか言えよ! 」 社長に促されて諒と一緒に座った麻也は、困ってしまい、目をそらしたまま、どうにか、 「俺には…諒がいろんな意味で必要なんだ。 そして、せっかくここまできたバンドを落としたくないから、 この、カモフラージュの話を受けることにしたんだ。」 「兄貴、どうしちゃったんだよ! 百歩譲って諒とつきあってるにしてもだよ、 さらしものになるんだよ。二人の関係、それでいいの? 」 事務所の…というか、人気のつき始めたバンドというプロジェクトの非情さを、 改めて実感した気がした。 そして、その対極にある肉親の愛情も… 「いい。バンドもプライベートも守りたいと、俺は思ったんだ。」 諒が何かを言いかけたところで、社長が、 「じゃあ、企画書の説明を…」  それからはみんなうわの空だった。

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