257 / 1053
第7章の15
「イチャイチャのシーンはあまり多くならないと思うよ。
武道館のシーンも入るしね。」
で、日常の仕事のシーンと、あとリハーサルスタジオと、最後にイベント、と…
社長の言葉が頭に入ってこない。
ミーティングが終わって社長室を出ると、真樹にぐいっと腕を掴まれた。
諒と直人が須藤のいる事務室に入っていくのが見える。
「兄貴、今のあれはいったい何なんだよ。話聞かせてよ。今から家に行くからさ。」
「あ…家は…」
「何だよ…」
「今は諒のとこに…その…居候してるから…」
「はあ? 何なの? 何より、何で諒とヨリを戻したの?
アイツは男だよ。もうバツイチなんだよ。
何より子供さんがいるんだから、奥さんと復縁だってあるかもしれないんだよ。
兄貴には内緒にしてたけど、アイツ、大翔くんにメロメロなんだから…」
…そこまではなぜか想像していなかった、というか、目を背けていた…
と、もう麻也は傷ついている。
「何が一生幸せに、だ。諒も無責任だよ。
何より、武道館にビビってたヤツだよ。兄貴より格下じゃん。
それに、別れる時はバンドも崩壊しちゃうんだよ。
この前だってあんなに大変で、兄貴ボロボロだったじゃん。
本当に兄貴らしくないよ。」
「…」
「ほんとを言えば、ラブラブってこと自体、俺には分からないよ。男同士なんて。
悪魔の魔法なんて教えなきゃよかった。」
麻也には言葉もない。
ともだちにシェアしよう!