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第7章の22

 撮影が続いているので、スタイリストも忙しいのだが、 本人たちに代わって身の回りの物を揃えるならセンスのいい人間を、 と白羽の矢が立ったのだった。 「あ、ベッドのこと言うの忘れた。」 「ちゃんとダブルにしてくれるよねえ…? 」 「電話した方がいいかなあ…須藤さん、三田さんの番号教えて。」 「はい? 」 とは言いながらも、須藤は諒に番号を教えてくれたが、 「そう言えば、せっかくの機会だから、それぞれの部屋に、 仮眠用のベッド入れなくて大丈夫ですか? 」 意外な提案だった。まあ、忙しいし、何より事務所持ちだから、 この機会を逃せば確かに買う機会はないだろうが… 2人はあまり必要を感じなかった。それで、声を揃えて… 「いやあ、いらないでしょう。」 「でも、ケンカなんかした時も便利ですよ。」 「しないもーん。」 と、2人は仲良く答えた…  ベッドの手配が終わると、木内を訪ねた。 そこでは、打ち合わせ室にカンヅメにされた。 「僕も今忙しいんで、君たちの時間の許す限り、 ここでアルバムコンセプトとか、テーマとか、歌詞とか、何でもいいから書いていって。 まずは一歩でも進まないと。」 と、紙と鉛筆をドンと渡された。 そして、今、別件の詰めなんで失礼、と、木内は出て行ってしまった。

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