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第7章の25
控室にはもうリズム隊の2人がいたが、麻也と諒が須藤と入ってきたのを見て、直人が、
「あれ、もう仕事入ってたの? 」
麻也は真樹が気になって、ああ…と軽く受け流したが、諒は、
「うん、スタジオで打ち合わせ。その前は物件見てきたんだ。
2部屋防音でさ、なかなかいい感じ。」
へえ、と直人が無難に返事をすると、あとは何だかみんな無言になった。
真樹は麻也と諒に背を向けたままだった…
まあ、収録の時は、いつも通り仲良く、4枚目のシングルについて語ったのだが。
その次は麻也と諒の、雑誌のグラビア撮影、インタビュー、イベントのリハーサルとこの日もめまぐるしく、
2人が帰れたのは夜中で、2人ももうぐったりだった。
「少し曲作りしよっか…ってこれじゃあ無理か…」
「今日みたいな感じになっちゃうね…」
「じゃあ、それでもいいから、1時間だけでもやりますか。」
「そうだね、少しでも進めなくちゃね。」
と、2人は着替えもそこそこにリビングのテーブルに向かい、歌詞ノートを開いた。
「初めての共同作業でございます~」
諒は景気づけのように言うが、つい麻也は、
「さっきスタジオでもやったじゃん。」
とイジワルして言ってしまう。
そして諒が冷蔵庫から出してくれた缶コーヒーをひと口飲み、ペンを持って書き始めた…
…ふと気づくと…
カーテンの隙間からは、朝の光が…
麻也は真っ青になった。見れば諒も突っ伏していて…
「諒、諒、大変、朝になってる! 」
「えっ? ええーっ? 」
「もう8時過ぎ! 」
「なにーい! 今日は10時直行じゃん! 」
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