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第7章の26
さすがの諒も1人でシャワーに飛び込む。
その間に、麻也は2人の服を急いで選び出す。
「麻也さん、早く脱いで~♪」
当たり前のように、諒がバスルームから叫んでいる。
麻也はイライラしながら諒のところへ行き、
「1人で入ってただろ! 」
「チェンジの時ぐらい見せてくれたっていいじゃん。」
「あーもー俺も急いでるんだよっ! いいから早く出て! あっち向いて! 」
「ええっ、そんなあ…」
「じゃあ俺、仕事行かない。シャワー入れないもん。」
「…わかりました。夜まで待ちます。」
「よしよし。」
と、諒の頭を撫でてやると、麻也もシャワーに飛び込んだ。
「あ、ドライヤー早くかけちゃってね。俺、髪乾かしきらないと、頭が爆発しちゃうから。」
「髪が爆発しても、麻也さんは可愛いよ。」
「ほんと? てへ♪」
「…否定とか、しないのね…」
「…しろって言うの? 」
「いいえ、すみません! 」
二人とも髪の乾きが甘かったが、どうにか身支度が整ったところで、麻也が、
「あれ、このグラサンじゃない…」
「いいじゃんこれで。」
「だめなの、あっちは三田さんに選んでもらったヤツだからカッコいいんだってば。」
「いいからもう出ようよ。」
ぶつぶつ言い続ける麻也はタクシーに押し込まれ、向かうは2人の新居である。
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