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第7章の32

もーいいよっ! と麻也は自分の荷物を作曲部屋にとりあえず入れ始めた。 (こんなことなら、須藤さんの言うとおり「仮眠用ベッド」入れれば良かった…) すでに麻也は後悔し始めていたが… 「麻也さん、ごめんっ、てば…」 「俺シャワー浴びてくるっ! 今夜はソファで寝るから。」 「麻也さん…」 すがりついてくる諒を振り切ってバスルームに飛び込むと、 明るいベージュ色のそこには、必要なものはすべて揃えられていた。 「バスローブまで…やっぱ俺が白で、諒が黒かな…」 脱衣所で麻也が服を脱ぎ始めると、突然ドアが開いた。 「麻也さーん! バスルームどんな感じ?! 」 魂胆ミエミエ。麻也があわてて後ろを向くと、背中から抱き締められる。 「邪魔しないのっ! 」 「でも夜はいいって言ったじゃん。あ、バスローブ、俺が黒の方がいいよねえ…」 「そうだね。じゃあ早く出て。時間ないんだから。」 「出ない。俺も一緒に入る。」 と諒もすぐに服を脱ぎ、浴室へと麻也を誘う。 「あ、ここのシャワーも俺仕様♪ 」 シャワーヘッドが高い位置につけられていたのである。 さっそくお湯を出してみる。二人の上からお湯が降り注がれる。 「気持ちいいね…」 そう言って諒は麻也を抱き締めると、耳元で囁いてきた。 「ベッドルーム、カメラ入れないから…一緒に寝ようよ。」 カメラよりも俺を選んだか… 嬉しくなって麻也は、うんうんとうなずいていた…  それに気を良くしたから、というわけでもないのだが…  初夜ということもあり、麻也はフェイントで諒の腰をとらえ…  諒を口で… 「…ううっ…ま、麻也さん…魔性の王子…」 「…ごちそうさまでした…」  あっと言う間に昇天した諒が、 ますます麻也に頭が上がらなくなったことは、言うまでもない…

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