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第7章の34
「ではまた後ほど…」
クルーが引き上げてしまうと、麻也は力が抜けてしまった。
「キスシーン、使ってくれると思う? 」
「もっとキスしまくれば良かったかな? 」
「2人とも、次は握手会ですから急いで下さいね。」
須藤の指示が飛ぶ。
その、CDショップ主催の、4人揃っての握手会にもカメラは入ったが、
大盛況で、クルーも大喜びしてくれるほどだった。
その後のイベントのリハーサルの初めの方にもクルーは入った。
「では明日のイベントもよろしくお願いします。」
そう言って彼らがあがっていくと、麻也たちもいったん休憩だった。
直人が気をつかって、
「新居のシーンは上手くいったの? 」
麻也は正直に答えるしかなかった。
「う…ん…でも、キスシーンは使ってもらえるかちょっと微妙…」
「それじゃだめじゃん。」
3人で笑っていると、差し入れのエクレアをつまみに来た真樹が、
何となく所在なさそうにしているので、直人が声をかけた。
「真樹もこっち来れば? 」
でも、無視して、一人離れた椅子に座る。
「オンエアされれば真樹もわかってくれるんじゃないかな。」
直人は2人を励ますように言ってくれた。
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