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第8章の2
その後は、真樹と直人が分刻みのスケジュールで、ラジオから握手会に走って向かうところが映し出され…
大盛況の握手会の様子と、ファンへのインタビューに切り替わる。
可愛らしい女の子たちが、頬を上気させながら、
<諒さんのファンです。毒のあるカッコ良さが魅力的だからです。>
<麻也さんのファンです。ギターの王子様だからです。>
「男にも訊けよっ! 」
リズム隊の2人が吠える。
しかしその後はリハーサルのシーンになり、若手のアーティストのお約束のように、
行き詰まり、リハが中断している様子が映し出される。そして、解決の糸口を見出すメンバー。
通しでその曲が演奏され、みんな笑顔になる。
そしてライブイベント。
熱唱している諒に真樹と麻也が左右でもたれかかり、弾きまくりながら客席をあおる。
客席をあおりながらの直人の笑顔。
ラストはライブ直後の諒のコメントだった。
<せっかくの20世紀末だから、自分たちに合った時代だと思うんで、
このまま自分たちらしく走り続けたいと思います。>
そして、エンディングテーマが流れる中、イベントの時の、
楽屋からステージに向かう、きらびやかなステージ衣装にメイクの4人の姿…
「終了~!! 」
と、直人は叫んだが、
「でも何か最後のコメント、諒らしくないような気が…」
「ごめん、ライブ直後だから頭真っ白で。
打ち上げの時の方がいいこと言ったのに、使ってくれないんだもん。」
すると真樹が、
「みんな、今日は泊まってかない? これからちょっとだけ飲んで、反省会しようよ。
明日はインタビューと会議だけでしょ? 」
真樹の提案が、麻也には嬉しくて仕方がなかった。諒と直人も、
「それじゃお願いしようかな。」
「何か手みやげ持ってくれば良かったね。」
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