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第8章の11

 今回のラジオの公開放送はオープンスタジオなので、警備担当の鈴木が舞台の端で待機していたが… 曲の入り口で、4人はすでにファンにもみくちゃにされていた。  収録が始まると、ここでも大歓声の中、2人は迎えられた。  プレゼントはマネージャーが代わりに受け取るので、須藤の持っていた袋はパンパンになっていた。  麻也と諒はここでも指輪のパフォーマンスをやった。  男性のパーソナリティがあわてて、 「それは何のパフォーマンスですか? 」 麻也が落ち着いて、 「同棲祝いにペアリングをもらったんで、そのお披露目です。」 ファンの勘ぐるような視線も感じているであろう諒も、ようやくいつも通り、 「よく、女優さんとかがやってるみたいな…」 そこでパーソナリティはさらに困ってしまい、 客席の後ろの方の須藤に向かって、冗談ぽく、 「これ、事務所的にもOKなんですか? 」 みんなの笑いの中、須藤は両手で丸のサインを作って笑う。 「社長も公認なんで…ライブでもお披露目してるし…」 そう言って麻也が笑うと、麻也さん可愛い―! と声がかかる。 どうにも上手く料理できないらしいパーソナリティは、 さっさと曲にいってしまい、その後は同棲のことには全く触れてこなかった。 まあ、作戦通り、諒の離婚のことにも触れてこなかったので良かったとは思ったけれど。 そして、4枚目のシングルの両面をかけてもらい、 フラッシュの中、最後には二人ともサングラスを外し、客席に手を振って舞台から下がった。  通用口を出て、移動用のワゴン車に乗り込む時も出待ちのファンの数がすごかった。  が…  その喧騒を切り裂くように、麻也の耳には聞こえたのだ… 「こんなの営業ホモやん。」 諒には聞こえたかどうかわからなかったが、 麻也には何だかショックで、その気持ちのまま車に乗り込んだ。  それで、次の、出版社の取材では何だかうわの空になってしまった。  そのビルの前にも、追っかけはうろうろしていた。

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