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第8章の12

 他にもタウン誌や地元のテレビの音楽番組に出演し、 その日最後の仕事は、ライブハウスでのトークライブだった。  そこでは、ファンの質問コーナーで盛り上がった。 「諒クンと麻也さんは本当に付き合ってるんですか? 」 諒が答えた。 「はい、付き合ってます。お揃いのリングもしてまーす。」 そう言われ、麻也も恥らいながら、苦笑しながら、また左手を一緒に突き出した。 すると、高校生とおぼしきその女の子は、 「エッチはしてるんですか? 」 場は困ったムードになってしまったが、諒は苦笑しながらも、 「うーん、いい質問だね…」 と時間をかせぎ、 「麻也ちゃんはね、天使なのでえっちをしてはいけないの。 だからボクはガマンしてるの。」 「何それ~…」 麻也が吹き出すと、会場は大爆笑になった。 が、質問した子は、 「納得しました。ありがとうございました。」 と席に着いた。 納得したの? と、司会者が驚きを隠せず尋ねると、 その子は素直に「納得しました」を繰り返すので、会場は拍手が沸き起こった。 麻也さまはファンの間では天使なのだ。 もっとも、諒が率先して拍手をしていたのだけれど… 

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