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第8章の15

次の手紙も似たようなものだった。 ―女好きのMA-YAさん、いえ、今はディスグラの麻也さん、  今回の件は、略奪愛? 略奪ホモ?  それとも営業ホモですか?  情けない。 もてあそばれて2000人斬りにされた女達はみんな恨むどころかあきれてますよ… 嘘ばっかり。 ―魔夜さん、  諒さんの幸せを壊すようなことはやめて下さい。  奥さんと子供さんがかわいそう過ぎます… その次の手紙にいたっては、スタッフ宛てだった。 ―スタッフのみなさまへ。  諒くんと麻也さんに、カップルのふりをさせるの、やめて下さい。  キスもやめさせてください。  男同士で見苦しいです。  せっかくカッコよくてサウンドもいいのにもったいないです… …麻也は立ち尽くすばかりだった。 それは自分宛ての同じような手紙の山を手にした諒も同じらしかった。 「だから言ったのに…」 須藤が歩み寄ってきて、2人からそれらの手紙を受け取る。 「まあね、ちょっと薬が効きすぎた、って感じですかね。 でも、予想以上の反響じゃないですか。」 すると、気を取り直したように諒が、 「ま、いちおー、俺たちがカップルということはわかってもらえたわけだね。」 「事務所に帰ればもっといろんな反応があるでしょうね。」 と須藤は答えると、麻也に、 「こっちの山なら面白いですよ。」 と、違う山を手渡してきた。 諒もそれをのぞき込み、声に出して読み始めた。 「天使の魔夜姫さま…って、天使なのに 魔だの姫だの忙しいな…」 「最近これが多いんだよねえ…」 麻也が不満そうに言うと、諒は笑いながら、 「的を射てるからいいんじゃない? 」 「ぶ~! 」 「いいんだよ。魔夜さんの『ま』は『魔性』の『魔』、 夜の帝王だったんだから『や』は『夜』の字しかないんだよ。」 「何だよ『夜の帝王』って。」 「あっ、間違った。『夜の絶倫姫』だった。」 「うるさいなあ、そっちは『夜の絶倫じいや』のクセに。」 「えーっ! 俺って『じいや』なのぉ~…」 須藤や鈴木も大笑いし、 「麻也さん、せめて執事くらい言ってあげて下さいよ。」 「執事ぃ~?! 俺は姫の連れ合いなんだよ。王子に決まってるでしょ。」 「王子にしてはちっちゃいような…」 「えーっ、この長身のどこがぁ?! それに麻也さん、この前俺の見てやっぱデカいって言ったじゃん…」 「言ってないし、そういう問題でもないよ、もー… えっとぉ…お二人のケッコン記念にレースのエプロンをプレゼントします。 これで諒クンを悩殺してください。」 おーっ!、と諒は喜び、プレゼントの山を物色する。

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