294 / 1053

第8章の16

「これかな? 」 と、諒が喜んで取り上げたそれは純白の、フリフリのレースがついたエプロンだった。 「でもやっぱ、俺には小さいよ。」 「ええっ? これくらいの丈なら裸エプロン大丈夫だよ。」 「試しにやってみたらどうです? こっちには妖精の麻也さん宛てもありますよ。」 須藤の冷ややかな声に、2人は我を取り戻した…  疲れてしまった2人は、結局須藤のおやつのチョコを分けてもらい、 プレゼント類は預けたまま、部屋に戻った。 「じゃあ、今度こそシャンパンだ♪ 」 麻也が冷蔵庫からボトルを取り出し…ソファの上で2人でフルートグラスを掲げると、 「諒の、ペリドットの瞳に乾杯♪ 」 「麻也さんの、星の瞳に乾杯♪ 」 とグラスを合わせる。ダークチョコを口に含む。 諒の気を引き立たせようとも思って麻也は、 「何回も初夜があって嬉しいな…って、初夜と思ってるの、俺だけ? 」 「麻也さん、初夜は嬉しいけど、その小首かしげるの反則! 」 言われたので、麻也は思い切りまた小首をかしげてやった。 諒は照れてしまって、 「やだ、もー、麻也さんの大きな瞳に吸い込まれそう。」 「ええーっ、諒の方が目が大きいじゃん。目力もあってさ… 俺、最初から、そのメヂカラにホレてたのかもしれない…」 シャンパンの勢いもあってか、麻也はうっとりと告白してしまう。

ともだちにシェアしよう!