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第8章の25

「ま、俺の方は、麻也さんLOVEモチーフを、俺流にひねっただけの曲だけどなあ、今回は。」 などと、独り言を言っていた諒は、麻也よりは体力があると自負しているものの、 予定通り朝の6時にはひと眠りすることにした。 「麻也さん、もう寝ようよ。」 「だから、先に寝てて。」 「麻也さん、また動けなくなるだろっ。」 「…」 麻也はマイクから手を離さない。諒の方も見ない。 「少しは体のことも考えなよ…」 「…今いいところまで来てるんだ。」 そう言われてしまうと、諒も引き下がらざるを得ない。  一緒に暮らし始めて初めて、諒はダブルベッドに一人でもぐり込む羽目になってしまったが、 疲れから、すぐに爆睡してしまった。  …目覚ましで諒が飛び起きると、横に麻也の姿はなかった。  諒があわてて麻也の部屋に行くと、麻也は机に突っ伏して寝ていた。 「麻也さん起きて。ちょっと、録音データ消えたりしてない? 大丈夫? 」 「えっ? もう朝? 」 「もうシャワー浴びないと間に合わないよ。」 「ねえ、顏むくんでる? 」 「大丈夫。それに今日は確か撮影ないし。」 「諒はもう曲あがったの? 」 「あと一曲…」 「良かったあ。俺もなんだ。」 「さ、麻也さん、洗ってあげるからシャワー…」

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