303 / 1053
第8章の25
「ま、俺の方は、麻也さんLOVEモチーフを、俺流にひねっただけの曲だけどなあ、今回は。」
などと、独り言を言っていた諒は、麻也よりは体力があると自負しているものの、
予定通り朝の6時にはひと眠りすることにした。
「麻也さん、もう寝ようよ。」
「だから、先に寝てて。」
「麻也さん、また動けなくなるだろっ。」
「…」
麻也はマイクから手を離さない。諒の方も見ない。
「少しは体のことも考えなよ…」
「…今いいところまで来てるんだ。」
そう言われてしまうと、諒も引き下がらざるを得ない。
一緒に暮らし始めて初めて、諒はダブルベッドに一人でもぐり込む羽目になってしまったが、
疲れから、すぐに爆睡してしまった。
…目覚ましで諒が飛び起きると、横に麻也の姿はなかった。
諒があわてて麻也の部屋に行くと、麻也は机に突っ伏して寝ていた。
「麻也さん起きて。ちょっと、録音データ消えたりしてない? 大丈夫? 」
「えっ? もう朝? 」
「もうシャワー浴びないと間に合わないよ。」
「ねえ、顏むくんでる? 」
「大丈夫。それに今日は確か撮影ないし。」
「諒はもう曲あがったの? 」
「あと一曲…」
「良かったあ。俺もなんだ。」
「さ、麻也さん、洗ってあげるからシャワー…」
ともだちにシェアしよう!

