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第8章の30
47都道府県をすべて回るホールツアーの日程も発表され、
また2人ずつ地方へのキャンペーンにも行った。
が、どこもファンの集いの会場もはるかに大きくなっており、
それでも会場はぎゅうぎゅう詰めで、
イベンターの警備スタッフも大変そうだった。
麻也は今回は真樹とまわった。諒は直人とペアだった。
麻也たちの方も、遠藤兄弟が来たというので、
ファンは大歓声だったし、受ける取材の数も増えていたので、
初日はへとへとになって、2人はホテルの部屋にたどり着いた。
「こんなことならツアーに来た方が早いって気がする。」
「今から弾きます、なんてね。」
食事の時からアルコールは入っていたが、
2人は須藤の差し入れの缶ビールでまた乾杯した。
「でも、こんな風に二人で話す機会はいいね。」
麻也がしみじみとそう言うと、真樹も、
「そうだね。前と違ってあんまりじっくり話せなくなったからね…」
と、ビールをひと口飲むと、
「そういや兄貴、諒とはうまくいってるの? 」
「あ…うん…」
麻也は、恥ずかしくなって、笑みを押し殺しながらうつむいてしまった。
それを見た真樹はからかったりはせず、
「ま、兄貴が幸せならそれでいいよ。」
「…後からメールタイムもらっていい? 」
「もー、ラブラブなんだから…」
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